たった4名?

毎年10月には、高校野球中国地区の秋季大会があります。
しかし、それまでの慣習から、この大会での応援演奏は予定していませんでした。
そんな折り、野球部が準決勝まで勝ち進み、またその試合日が休日に重なったこともあって、学校側から応援演奏の依頼をいただきました。

ただ、その連絡が来たのが試合日の直前だったのです。
唐突に決まったものですから、部員たちにも無理は言えません。
「予定のない人、来られる人はなるべく来てください。」
と、控えめな表現で参加を募るしかありませんでした。
その結果、当日集まった吹奏楽部員は、たった4名だったのです。

部員が全員集まったとしても少ないのに、この惨状には目を覆いたくなります。
しかし、この現実をもって事態に対処しないと、話は前に進みません。
いつも通り、顧問の先生方にも参加していただく傍ら、この時は生徒会にも協力を仰ぎました。
というより、強引に引きずり込んだ、というほうが正確な表現かも(苦笑)。

パーカッションが全滅ですから、まず生徒会長に有無を言わせず、シンバルを持たせました。
そして生徒会顧問のJ先生に、スネアドラムをお願いしました。
適当に叩いてくれればいいよ、ということで、先生と息子さんが楽しく叩いてくれましたっけ。
最後にバスドラムは、スーザフォンを吹いている僕の左手が叩きました。
生徒会長には、このバスドラムに合わせて、シンバルを鳴らしてもらったのです。
いま思えばかなり無謀な演奏ですが、もうその時は「何でもアリ」でした。

相手高は50人を超える吹奏楽団とチアガールも備えた本格派。
組織的な応援はさすがで、応援合戦では完膚無きまでに叩きのめされました。
さて、こんな時こそ野球部が快勝して溜飲を下げたいところなのですが・・・野球部までが(泣)。

試合終了後、スタンドの野球部員が、勝った相手校に向かって怒号を浴びせています。
母校の品格が疑われるので内容は割愛しますが、隣で楽器を片付けている僕らからすれば、「おいおい、勘弁してくれ~」ですよ(大泣)。

バリサク吹きのデビュー

そろそろ寒くなってくる11月の下旬。
恒例の連盟行事「バンド・フェスティバル」が開催されます。
前年は出演できませんでしたが、今年はもちろん参加しますよ。舞台は倉敷市民会館です。
ただその頃には、退部者が出る一方で新入部員はなく、部員数は14人になっていました。
それでM先生、F先生にも参加していただき、総数16人での演奏です。
演奏曲目は文化祭で演奏した「アクセルF」と、人気のある「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」シリーズから「ナイス・デイ」をセレクトしました。

このナイスデイという曲は軽快なテーマとしっとりとした中間部で構成されていて、聴かせどころは中間部のトロンボーン・ソロと、主題に戻ったところでのトランペットのベルトーン効果でしょうか。
当時我が部のトップ・プレイヤーはトロンボーンだったので、ソロはまったく問題なし。
でもトランペットはうまくベルトーンにならず、指揮台に立たずにラッパを持ったM先生が頑張りました。
もうちょっと部員が頑張らないといけませんね。
で、当日の演奏は・・・? それなりに(苦笑)。

第11回バンドフェスティバルさて、僕はというと、アクセルFは文化祭と同じでチューバを吹きましたが、ナイス・デイは本来のパートであるバリサクに持ち替えることができました。
先生から、「トロンボーンのソロをバリサクに替えようかぁ。」なんて意地悪を言われながら。
そうそう、その中間部では先生お手製の楽譜で、しっかりチューバのパートを吹かされました。
やっとバリサクを吹けることになったのは良かったのですが、本番当日にバリサクとチューバの二つの楽器ケースを両手で持って、階段の上り下りをするのは結構キツかったです。

この日が会館規模でのステージでは、バリサク演奏の記念すべきデビューの日でした。
でも結局、この日のこの1曲だけに終わってしまったのは残念です。
そういえば、我が部は小さな部なのに、なぜかバリサクだけスタンドが用意されているのを奇異に思ったことがあるんですよ。
これは今日という日の僕のために、先輩たちが用意してくれてたのでしょうね(大ウソ)。

クラシックの有名曲

バン・フェスが終わってしまうと、吹奏楽部としての今年度公式行事は終了となります。
冬にはアンサンブル・コンテストがあるのですが、この時は、まだまだ参加できるレベルじゃない、と思っていました。
今思えば、やろうと思えばよかった、とも思うのですが、これから紹介するエピソードは、その思いをかき消してしまうかも知れません(苦笑)。

ある日、次の練習曲を選定すべく、楽譜棚をひっくり返していたら、とある楽譜が目にとまりました。
その曲は、超有名なクラシックの名曲、グリーグ作曲「組曲ペール・ギュントより前奏曲『朝の気分』」です。
この楽譜を配ろうとしたら、M先生が、
「わしがここに赴任して、初めてのクラシックじゃ♪」
と、妙に喜んでいたのをはっきり覚えています。

この曲はフルートとファゴットが主題を優雅に歌い上げる曲ですが、他のパートは白玉ばかりでほとんど見せ場が無く、言い方を変えれば「退屈な」曲です。
当時、我が部にファゴットは無かったので、クラリネットにその旋律を書き加えました。
そして3~4日後くらいだったかな。
ちょっと合わせてみよう、と合奏してみることになりました。

フルートがなんとかメロディーを吹き、クラリネットが続くのです。
が、そこから無音状態が延々と続いてしまいました。
そして中断・・・。

誰からともなく、「この曲やめようやぁ」という声なき声がわき起こり、そのままお蔵行きとなったのです。
M先生、納得の苦笑でした(笑)。